There She Goes

小説(?)

真理 / There She Goes #40

今週のお題「お花見」

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Instagram post by 踊る猫 • Mar 28, 2018 at 9:32am UTC

桜の花が咲いたら思うことはひとつ。もう雪に困らなくて済む、ということだ。

仕事をこなした。彼女もまた仕事をしているのだろうな、と思った。彼女は彼よりも高知能なのでそれ故の悩みとしてある種の鋭敏さを抱えており、鋭敏に過ぎて体調の変化が激しいのだそうだ。彼女もまた彼同様車を運転出来ないので、転職も難しいとかなんとか……。

断酒して悟ったことをまた書くべきだろうか? 断酒したのは三年前の四月三日である。この日、偏頭痛で倒れて会社を休んだのだった。寝込んでしまい、会社に休みの電話を入れてベッドで唸りながらコーエン兄弟の『ファーゴ』を観たのだけど、その時一日だけ酒が止まった。この日を逃すと終わりだと思い、次の日に断酒会の出席の旨を明かした。それ以来断酒は継続されている。断酒会で色々な人の姿を見た。どん底まで落ちた人々。一番ショックだったのは脳に影響が残ってしまった人。呂律が回らない中で、断酒してどう立ち直ろうとしているか語っていた……言葉を超えて伝わるものがあった。

その姿を見て以来、彼の中である種の超人思想とでも呼ぶべきものが生まれたように思う(ニーチェなんて読んだこともないくせに……)。人生は腹を括ったら立て直せる。逆に言えば立て直すためには何処かで腹を括らないといけない。そう思い、今の会社で長時間働かせて貰うつもりでテストと面談を受けるつもりで居る。

ともあれ無教養を晒して今日も一日が終わって行くのだけれど(明日以降読めればニーチェに挑み、ドゥルーズに挑んでみよう)、彼女とは仲が絶たれたわけではなく母親を介して伝言が届くので、それなりに関係は続いていると考えられる。ただ、先述した鋭敏さ故のものなのか、春は彼にも覚えがあるが体調が不良になりやすい時期なので寝込んでいたり仕事を休んでいたりしないかと思うと心配になって来る。彼女のことを思うと愚鈍に出来ている自分の醜いけれど頑丈な身体、肝臓を散々痛めた小太りな体、それを持て余す……男であることは恥ずかしい、と書いたのは丹生谷貴志だっただろうか?

いや、他にも読みたい作家が居たのだった。ロラン・バルトである。『彼自身によるロラン・バルト』を図書館で借りたのだった。バルトは『恋愛のディスクール・断章』を読めずに中断しており、他の本は読んだことがないのでこれもまた威張れないのだが、ともあれ優れた書き手は男であっても中性化/女性化するという格好のサンプルであるとの思いを胸にし、手に取ることにしたのだった。そんなこんなで映画漬けだった日々が一変して活字漬けになるのだから、人生は本当に分からないものである……Why can't we be ourselves like we were yesterday……