There She Goes

小説(?)

Talk Is Toy [Inter-Planetary Travel Mix] / There She Goes #34

Firm Roots Remix

Firm Roots Remix

 

彼女の仕草に惹かれ、彼女の言動を真似たいと考える。だが、彼は言うまでもなく彼でしかあり得ない。海を泳ぐ魚は空を飛ぶ鳥に憧れるかもしれないが、魚は空を飛べない。その代わり鳥は海を泳げないのだから、結局は自分の置かれている環境で best を尽くすだけ、ということになるのだろう。

彼は彼女が持ち歩いているようなルーズリーフバインダーを持ち歩き始めた。それとメモパッドと付箋。システム手帳と、それからスマホに二種類のメモ的なアプリ。これだけのものを使いこなすのは到底無理なので、どう使い分けたら良いか悩んでいるところである。メモを書くだけで一日が終わってしまいそうな、そんな日常である。

細かいことに着目してメモをつけ始めると、色々なことが見えて来る。その場その場の思いつきの中に光るものが意外と多く垣間見えること。忘れっぽい自分の性格故に忘れてしまっていた些事。逆に些事なのに important と思ってしまうようなこと……そのあたりどう残しどう切り捨てるか valance が難しい。

それでそのメモを書く作業の合間に本を読み、お勉強をしているところなのだった。 

アルコール・薬物・ギャンブルで悩む家族のための7つの対処法―CRAFT(クラフト)

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  • 作者: 吉田精次,ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
  • 出版社/メーカー: アスクヒューマンケア
  • 発売日: 2014/10
  • メディア: 単行本
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NeuroTribes: The Legacy of Autism and How to Think Smarter About People Who Think Differently

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スクロール

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彼自身、依存症を抱える人間として断酒会に身を置いて努力して断酒しているのだけれど「CRAFT」というプログラムが依存症と引きこもりの方に効くという話を聞き、どうして依存症者と引きこもりが繋がるのか不思議に思っていたところなのだった。それについてはまたいずれ考えるべき時が来るだろう。

依存症……彼にとっては言うまでもなくスティグマでしかない。依存症さえなければ美味しいお酒を沢山飲めて幸せに暮らせたのに……だがそれを嘆いてばかりも居られないので断酒会通いと一日断酒を欠かさないで暮らしている。もう二年と半月が経つだろうか。慣れれば酒のない人生も楽しくないわけではない。

そして、そのスティグマとしての依存の体験が今度活きる場面が来るという約束をしてしまっているのだった。平たく言えば彼の体験談がお金になるわけだ。苦しんで来たことが「悩みは宝」とばかりにポジティヴに活かされている。それに彼は thrill を感じる。なかなか素敵なことじゃないだろうか?

棚から牡丹餅の話はしただろうか? 二十代までは発達障害者として分からなくて、また認めて貰えなくて苦しい思いをしたし、三十代は酒を止めるために血みどろの戦いを繰り広げた。修羅場を見た。それが全部自分の宝物となって戻って来る。これもまた素敵なことではないか。

そう考えるとスティグマと思っているものは――明かしては恥ずかしいと思っていることは――実は貴重な体験談ということになる。欠点だと思っていたことが、変えように依っては美点となる……彼の自殺未遂の話も今なら笑って話せる。まあ、迷惑は掛けたけれど……。

そんなことを考えながら、取り敢えずは目鼻をつけなくてはならないというわけでスティーブ・シルバーマン『Neurotribes』の読書に取り組んでいるのだった。精読は後回しにして、ザッと意味の掴めるところだけを飛ばし読みする。それが彼の読み方なのだ。最後まで読めるかどうか……。

あと、結局『Sapiens』も買ってしまった。 

Sapiens: A Brief History of Humankind

Sapiens: A Brief History of Humankind

 
Homo Deus: A Brief History of Tomorrow

Homo Deus: A Brief History of Tomorrow

 

これで両親を回転寿司に連れて行く夢からはまた一歩遠ざかったわけだ。あとははあちゅう「自分への取材手帳」も買った 

自分への取材が人生を変える (スマート新書)

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一体なにをやりたいのか……何処に向っているのか分からない時こそが重要なのだ、となにかの本で読んだことがある。行き先が確実に分かる努力ではなく、闇雲に自分の道を切り開く努力。それこそが後々に大きな実を結ぶということに繋がるのだ、と。だから彼は努力している。

あとは貫井徳郎氏と小川洋子氏の作品を読まなくては……読む本だけには困っていない生活を送っている。