There She Goes

小説(?)

川端康成

みずうみ (新潮文庫)

みずうみ (新潮文庫)

 

ここ最近全然活字が頭に入らなかったのだけれど、昨日はこの川端康成『みずうみ』という本を読み耽ってしまった。私自身読むつもりはなかったのだった。たまたま Amazon で『須賀敦子全集』第一巻を買ったあと箱がなにかガサゴソするなと思って調べたらこの本が入っていたわけである。その後 Amazon の履歴を調べたら私が注文したらしいので、忘れていたのだろう。

スジらしいスジなんてないような小説だ。その場で即興で考えたのではないかというほど叙述は取り留めがなく散漫なもので、銀平という独りの男が女性たちをしつこくつけ狙うその様子が、過去と現在を自在に往還する形で描かれている。と書くと、ラテンアメリカ文学的な高級な(?)ものを想像されるかもしれないが、全然違う。ひど筆書きで書いたような……と書くと伝わるだろうか。

それで、今日もやることがないのでヒマなので持っている川端康成の本を持参して何処かへ行こうかなと思っている。話を戻せば、私は川端康成の小説は数えるほどしか読んだことがない。『雪国』『伊豆の踊子』あたりは読んで、それよりも取り分け『眠れる美女』の方が上かなと思っているけれどその程度だ。『山の音』も読んだけれど全然記憶に残っていない。

色々生きづらいことがあって Twitter でもアウェイ感を感じてしまい、職場でも居た堪れなくなってしまったのでこの川端康成との出会いは僥倖と呼ぶべきだろうか。むろん『みずうみ』だけが特殊だったのかもしれないので別の川端康成の本が読めるかどうかは分からないのだけれど、他に選択肢もないので川端を読むことにする。

銀平の心理に私は、同じく恋心(なのだろう)を抱えて/こじらせてしまった自分の心理を重ね合わせた。あと津原泰水『ペニス』のような小説も連想させられた(幾ら川端とはいえ、『みずうみ』と『ペニス』を比べられたら私は後者を選ぶ)。こう考えて行くとサルトル『嘔吐』みたいな小説も自分には向いているのかもしれない。選択肢に入れておこう。持っていないので図書館で借りることになりそうだ。

今日は雨が降らなければ良いのだけれど。